男は傾きかけた、どう立っているのかも分からないような

おんぼろ小屋の屋根の上に、とん、とあぐらをかいていた。

見るからに怪しい光景だったのだが

まさかあやかしでもあるまい、と思い

好奇心に負けた青年は声をかけてみた。




「何をしているんですか?」




すると男は振り返り、青年を見ると、にぃ、と笑った。

ざぁ、と風が吹いて、どこかで鈴の音が聞こえた気がした。




「なぁに、別に何ってこたァありやせん。

ちょいとくたびれちまッたもんだから、

横道に入って休もうと思ったら、汚ねェ小屋がある。

どうせ休むンならおてんとう様の良くあたる場所がいいやってね。

この先ずっと色気も食い気もねぇ長旅なんだ。

たまには酔狂なことも良ござんしょう?

だからこうして下手なとこに登ってるンでございやす。」




青年はポカンとしてしまった。

この男、意外と良くしゃべるではないか。




「はぁ。」




少々緊張していた青年は、つい気の抜けた返事をしてしまった。

ざぁ、と風が吹く。

その青年の様子をおもしろそうに見ていた男は

ふ、と何か見上げてこう言った。




「ただ。」




「ただ…?」




ざぁ、とまた風が吹く。




「この小屋も昔は、そりゃア立派な屋敷だったんでございやす。でもね、」



ざあ。


今、なんと言った?




「あの、あなた、あなたの名は…?」




名を聞かねば、と何故かそう思った。風で体がよろめいて

足下を見るとなにやら色がおかしかった。




「ここは悪い場所でございやす。だから、もう来ちゃアならねェ。」




ふいに耳元で聞こえた声にびくりとして顔を上げると

もうそこに男の姿はなく、頭がずきずきと痛んだ。

すると急に目の前が暗くなり

彼はゆっくりと気を失った。




目を閉じる寸前、やはりどこかで、鈴の音が聞こえた気がした。





御行奉為・・・・・・・









いきなり書いてみた突発ss。
なんだかさっぱりですいません(滝汗)



 

 

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